微量成分のはなし | マリンテック 人工海水 餌 マスキング剤

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  • 微量成分と生体の関係
  • 有害元素と毒性
海水中の微量元素がさかなやサンゴにどう影響しているのか?

現在、観賞用水槽で飼育されうる無脊椎動物は節足動物(エビ、カニ等)、腔腸動物(サンゴ、イソギンチャク等)、環形動物(ケヤリムシ等)、棘皮動物(ウニ、ヒトデ等)、軟体動物(タコ、イカ、ウミウシ、貝等)が挙げられます。

これら生物の中で、カニ・エビ以外は体液の組成が海水とほぼ同じで、成分を選択的に取込むことはできないので、直接水質が成長、生理作用に影響すると考えられます。
節足動物や軟体動物は、銅が不可欠な元素ですが、過剰にあると非常に有毒で呼吸障害が起こります。
また、銅は一般的に骨、皮膚などの代謝に必須な元素ですが、体内に蓄積され、過剰になると悪影響が起こります。

この様に過剰に存在すると毒性が現れる元素は、多くの例がありますが、欠乏すると影響がみられる元素は、報告がほとんどみられません。
しかし、微量元素は各種酵素の補酵素的な役割や、代謝調節機構の重要な要因として働いており、直接・間接的に影響していると考えられます。
また、餌と共に微量元素を取り込むことができる生物でも、餌中に不足があると環境水から取り込むことになります。
陸上の生物と異なり、環境水からも元素を取り込むことができますが、反面、環境水の影響を受けやすく、無脊椎動物はこの点からも水質が重要となります。

サンゴのうち、体内に共生藻(褐虫藻)を持つ仲間は、藻類が産生する栄養分を利用しています。そのような生物では共生藻に必要な栄養が海水中に存在していることが必要です。

マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、銅(Cu)、マンガン(Mn),亜鉛(Zn),モリブデン(Mo),窒素(N),リン(P)はすべての藻類に必須な元素であり、他の元素では代用することはできません。
海産の魚類では海水を飲むことによって元素を環境から摂取しています。

魚類に対して欠乏すること、何らかの異常がみられる元素としては
リン(P),カルシウム(Ca),マンガン(Mg),ヨウ素(I),亜鉛(Zn),マンガン(Mn),鉄(Fe),銅(Cu),セレン(Se)およびコバルト(Co)が知られています。リン(P),カルシウム(Ca)は骨を形成している主成分であり、リン(P)は餌から、カルシウム(Ca)は主に環境水から摂取しています。
リン(P),カルシウム(Ca)およびマグネシウム(Mg)は不足することにより成長不良、骨格異常などがみられます。
微量元素のうち鉄(Fe)、亜鉛(Zn)は魚体内に最も多く存在する重金属元素であり、
鉄(Fe)は不足することにより貧血(低色素性小球性貧血)が、亜鉛(Zn)は不足すると成長不良、皮膚、鰭の炎症、白内障が起こることが報告されています。
マンガン(Mn)は骨格の正常な形成に関係しており、骨はマンガン(Mn)含有量が高くなっています。欠乏すると正常な骨格形成が行なわれません。
銅(Cu)は魚体において肝臓に比較的含有が高い元素であり、欠乏すると成長不良が起こることが報告されています。
コバルト(Co)はビタミンB12の構成元素であり、動物の栄養上必須の元素であります。
セレン(Se)はビタミンEの生理作用において共存が必要な元素であり、魚においても必須です。
ヨウ素(I)は甲状腺ホルモンであるチロキシン、トリヨードチロニンの構成元素であり、これも必須です。もし不足すると甲状腺への蓄積量が減少し、成長に影響が現れます。
これらの微量元素の中には大部分を餌から摂取しているものもありますが、大部分を環境水から摂取しているものも多くいます。
その割合は環境、餌の組成などにより変化しますが、
海水の組成が重要なことに変わりはありません。

有害元素とその毒性

人工海水を製造するにあたり、各原料に微量に含まれる不純物についてコントロールすることが大切です。
そこで人工海水中に含まれる元素について、どのような元素がどの程度生物に有害であるか否かについて調べました。
方法としては、人工海水の基本組成を試薬(不純物が限りなくゼロに近い)で調整し、それぞれの有害元素を一定量加え、タコクラゲの幼生を小さな容器で飼育し、24時間ごとに観察し、評価しました。なお、飼育時はエアレーションを行なわず、1日12時間の照明としました。対象として天然海水を使用しています。
また、これとは別に、長期の試験としてクラゲの成長率も、天然海水との比較で評価しました。これらの試験を組み合わせ、クラゲに対する、有害元素の毒性についてまとめたのが下の表です。

以上の結果、クラゲに対しての毒性の強さは、

銅 /Cu 0.02ppm(天然海水の5~6倍)で死亡
亜鉛 /Zn 1ppm(天然海水の100倍) で死亡
ニッケル /Ni 7ppm(天然海水の1000倍)で死亡
リン /P 70ppm(天然海水の1000倍)で死亡
リチウム /Li 170ppm(天然海水の1000倍)で死亡
ヒ素 /As 3ppm(天然海水の1000倍)で死亡
バナジウム /V 2ppm(天然海水の1000倍)で死亡

という結果になりました。
これらの結果から、人工海水製造に使用する各原料の使用基準を設定するとともに、各原料の購入基準を定めています。