海水のはなし

  • マリン・テックの人工海水
  • 天然海水について
  • 溶解量と比重の関係
  • 温度と比重について
マリン・テックの人工海水

シーライフ・ヴィーソルトは観賞用生物飼育を目的とした人工海水です。観賞用飼育水槽では、いろいろな生物が飼育対象になりますから、天然海水の組成に近づける事が重要です。生物の飼育に良好であることは勿論、水質維持を担うろ過微生物も正常に機能できるよう、やさしい人工海水であることが必要です。またマリン・テックの人工海水は、透明度が高く、微量成分が均一に含まれ、小分けして使うことができる等、利便性が高いという特長があります。さらに、流通過程において製品の品質が長期間変化しないよう、保存性が高いことも重要です。マリン・テックの人工海水はこれらを解決した観賞魚飼育に最適な人工海水です。

天然海水組成そのものは、ノウハウにはなりません。しかし、製造に関して、どのような塩類をどう組み合わせて加工するかは、製造のノウハウになります。
また、加工に使用する各種原料の純度も重要なことです。
マリン・テックの人工海水の製造は、微量成分の量までコントロールしていますが、このときに問題になるのが、各種原料に紛れ込んでくる不純物です。そこで、製造に関しては、受入検査を厳しく行ない、微量成分を均一に保っています。

シーライフは、あらゆる海の生物飼育に適していますが、ヴィーソルトは特に光合成を行う生物飼育を目的として開発しました。そのため、ヴィーソルトは光合成の活性度をより向上させています。また、シーライフは水道水を使用することを前提にしていますが、ヴィーソルトは光合成の活性度を上げるため、純水を使用するように設計しています。しかし、純水装置などは費用と時間がかかることから、少しでも純水に近づくよう、有害金属を隠蔽するマスキング剤を開発しました。これにより、水道水からでも安心してヴィーソルトをご使用いただけます。

天然海水について

<海の起源>
地球が今の大きさになったのは、約46億年前といわれています。
その数億年後に、水ができたとか。そして約35億年前に、光合成をする生物が突然生まれ、酸素を生成するようになりました。その後、現在のような大気に変化していったと言われています。
最初のころ海は、pHが1程度と大変低かったと考えられていますが、徐々に現在のような組成になりました。ちなみに、約35億年前の海水の主要元素濃度は、現在の組成とあまり変わらないと推定されています。

<天然海水>
海水の溶存無機成分の特性は大別して数種類あります。

  • 定常的元素■成分比がほぼ一定で、塩素量によって代表できる主成分と可溶性成分。
  • 沈降性元素■主として重金属で、海水中で凝集したり、凝集物に吸着されて微量しか溶存していない成分。
  • 親生物元素■生物の栄養となる成分で、表層と深層で著しく濃度が異なる。
  • ガス成分■溶存ガスで、ほぼ飽和状態で溶解している。

主成分については、古くからの分析値がそのまま信用できますが、微量成分については、信頼性が落ちるようです。また、10ppb以下の成分については、現在の分析値にも疑問があります。
一般に公開されている成分・濃度等の値は、太平洋・大西洋等の海の値です。主成分についての成分比は各地での分析結果から見て、ほぼ同一であると言われています。つまり、濃度は異なるものの、溶解している主成分の濃度比は、どこの海も一緒という事になります。

塩の溶解量と比重の関係

シーライフの溶解量と比重との間には次のような傾向式が成り立ちます。
傾向式
水温25℃、水量1リットルとして溶解する量をS(g)とすれば、比重(d)は以下の式で表されます。
d=0.000627×S+0.998
この関係を計算して表にまとめたものが下記の表です。この表をもとに、比重を変更する場合、追加するSEALIFEの量や、水の量を求めることができます。

比重を高くする場合
たとえば、比重1.0200である海水が50リットルあるとします。この海水にSEALIFEを加えて、比重を1.0220に上げたい場合を計算してみます。表からそれぞれの比重に対するシーライフの溶解量を求めます。
比重1.0200:35.09g  比重1.0220:38.28g
比重を上げる訳ですから、これらの溶解量の差を追加すればよいことになります。
38.28-35.09=3.19g
したがって50リットル×3.19g=159.5gを追加すればよいことになります。

比重を下げる場合
たとえば、比重1.0250の海水50Lを、比重1.0220まで下げる場合は、上記と同様にそれぞれの溶解量を求めます。
比重1.0250:43.06g  比重1.0220:38.28g
比重1.0250の海水は、SEALIFEを1Lあたり43.06g溶かしています。これを1Lあたり38.28gの割合で溶けた量にするためには、水量を43.06÷38.28=1.1249Lにすれば良いことになります。したがって海水1Lあたりでは1.1249-1.0000=0.1249リットルの水を加えればよいことになり、50リットルの海水では、50リットル×0.1249=6.245リットルを加えればよいことになります。

温度と比重について

濃度は、通常「g / リットル 」とか「g / Kg 」とかであらわされます。ところが、容積は、温度が変われば変化することから「g /リットル 」で表した濃度の値も、温度が変われば変化します。しかし、重量(g)は温度が変わっても変化しないため、溶液1kgあたりの溶解量「g / Kg 」であらわせば、温度変化に関係なく濃度が決まることになります。比重も基本的には容積をベースにしているので、同一溶液でも、温度により比重の値は変化します。そこで、温度によって変化しない全塩分濃度「g / Kg 」を基準に、温度に対する比重の値を次表に表します。また、海水の濃度を表す方法として、電気伝導率も使用されます。 しかし、電気伝導率は温度に対する変化が大きいため、厳密に温度補正をする必要があります。